WJ30号※ネタばれがありますので、ご注意くださいね!引用は「」抜きしています。

小窓から朝陽が射し込む部屋の片隅で、疲れ果て崩れるように寝入る浦原さんの姿があります。かすかに指が動いたかと思うと、がばっと起き上がる浦原さん。視線の先には虚の仮面に顔を覆われたまま、壁にもたれ動かない平子がいました。なにか鬼道を施していた鉄裁さんが浦原さんに声を掛けると、浦原さんは「…スイマセン 鉄裁サン」と短く詫び、「失敗っス」と告げます。苦く見遣る鉄裁サン。「少し 表の空気吸ってきます」と鉄裁さんに背を向け浦原さんが扉から出ようとすると…目の前が交差された棒のようなもので塞がれます。中央四十六室から浦原さんと鉄裁さんの強制捕縛の命を受けた隠密機動が十二番隊隊舎に現れたのでした。突然のことに瞠目する浦原さんと鉄裁さん。

数字の書かれた立て札越しに席についた四十六室の面々にぐるりと取り囲まれ、その中央に手枷を付けられ立たされた浦原さんと鉄裁さん。これはどういう事態かと尋ねる浦原さんに、「査問の為に呼ばれたのだ 回答以外で発言すべきではない」と冷厳に答える四十六室のひとり。
昨晩の所在を尋ねられ、西方郛外区第六区の森林だと答えた浦原さん。それに四十六室のひとりは「“虚化”の実験の為かね?」と半ば断じたかのようにききました。そして別の四十六室の者が続けます。「君は自分の邪悪な研究の成果である“虚化”を 郛外区にて五番隊隊長を始めとする八名の隊長格に対して試行した」「間違いないかね?」
その発言に「ちょっと待って下さい! 誰がそんなことを…」と声を上げる浦原さん。「君に質問の権利は無い」と冷たく制されましたが、浦原さんは、虚化の実験を行ったのは藍染、自分は平子たちを助けに言ったのだと毅然と言い放ちます。
しかしその浦原さんの言葉は「嘘もそこまでくると滑稽だな」とあしらわれてしまいます。なぜなら、藍染は昨晩瀞霊廷から出ておらず、それは124名の隊士、1名の隊長格の証言により明白であるから。愕然とする浦原さんをよそに、査問中の四十六室に「十二番隊舎研究棟から“虚化”の研究と思しき痕跡が多数発見されました!」という隠密機動の報が…!驚いて背後を見遣る浦原さんに「決まりじゃな」と断ずる声。判決がくだされます。鉄裁さんには「禁術行使により第三地下監獄“衆合”に投獄」、浦原さんには「禁忌事象研究及び行使・儕輩欺瞞重致傷の罪により霊力全剥奪の上現世に永久追放」…視線を下に向け黙したままの浦原さん。そして…判決を言い渡した四十六室の者は厳として続けます。「尚 邪悪なる実験の犠牲となった哀れなる五番隊隊長以下八名の隊長格は」―――『“虚”として厳正に処理される』*1
その言葉に顔を上げ、「待ってください!」と四十六室の者に駆け寄らんばかりの勢いで叫ぶ浦原さん。そのとき、背後の扉が開け放たれます。「何者だ!」と四十六室がざわめく中、扉のところに立っていた人影が、瞬時に浦原さんと鉄裁さんを連れ去ります。

…ふたりが連れ出された先は双極の丘の絶壁に紛れた隠れ家のような場所。
浦原さんが礼を述べると、「礼なんぞいらん」と顔を覆っていた布を外し、浦原さんをひと睨みする夜一さんの姿が。浦原さんたちの身に起きる危険を察知し、虚化させられた平子たち八人を移動させ、浦原さんが研究中だった“新しい義骸”の試作品を運び出しておいてくれたのでした。
「さっさとやってしまえ」と、浦原さんを促す夜一さん。「今回の事件の話を 最初に平子に聞いた瞬間から おぬしが考えておった最悪の顛末とそれに対する最善の策を」その夜一さんの言葉をじっと聞き入っていた浦原さんは「…何もかもお見通しっスね」と少し肩を落としたかのように見受けられました。
そして…意を決した浦原さんは鉄裁さんに、平子たちに時間停止を、今いる場所に二、三層の結界を頼みます。「今から20時間でボクたち2人と平子サン達8人 計10体の霊圧遮断型義骸を作ります」強い決意を湛え浦原さんは言います。鉄裁さんが夜一さんの身を案ずると、夜一さんは「儂のことは気にするな どうとでも逃げ果せるわ」と軽く笑ってみせます。
佇む浦原さんは「現世に身を潜め 時間をかけて解き明かします」「必ず」と平子に目を向け、「この“虚化”を解除する方法を――」と決意を口にします。


そして時間は流れ、ヒビの入った窓の下、語る平子の姿があります。「…ホンマ 世話ンなったもんやで 喜助には」と、自分の帽子を指先で弄びながら微かに笑みを浮かべる平子。しかし次の瞬間、目から笑みは消えます。「…それから 藍染にものォ 行くで」平子の言葉に、ヴァイザードの皆が立ち上がります。今週はここで了。

*1:途中の傍線はありません。強調の為に二重括弧で括っています。