WJ2号※ネタばれがありますので、ご注意くださいね。引用は「」抜き、句読点を任意で付しています。

負傷した乱菊さんや雛森ちゃんの助けに入った修兵と吉良くんの姿を見て、「…あン!? 何だあいつら?」と彼らのほうを睨むアパッチ。「仲間でしょ。柱のほうから来たのを見ましたわ」とあっさりと答えるスンスンに「見てたんなら なんで止めねえんだよ、てめえ…」とアパッチ。
「ちっ…次々手助けに来やがって…他人の戦いに手ェ出すのが好きな…連中だぜ…」と舌打ちすると、アパッチはアヨンに攻撃を命じます。
しかしぬぼーと動かないアヨン。アパッチは再度叫びますが、アヨンはやはり無反応。「…シカトかよ あの野郎…」とふつふつと怒りが湧き上がってーくるアパッチに、その短気に半ば呆れながらも「やめな馬鹿、アヨンにあたしらの言葉なんか聞こえるワケないだろ」と背後から諫めるミラ・ローズ。
「どっかに鼓膜ぐらいついてんだろ!なァ!?」とキッとスンスンを振り返るアパッチでしたが、スンスンには「知りませんわ、あの子がこっちのセリフにリアクションするところ見たことありませんもの」とまたもあっさり。
やがてアヨンのほうへ目を向けたアパッチは顔を顰め舌打ちします。「…ちっ、やっぱ出すんじゃなかったぜ…」「気味の悪りィ奴だ」
風死の鎖を首のまわりに巻かれたまま、特に何をするわけでもなく首を傾げつっ立ったままのアヨン。アヨンを凝視したまま「吉良、こいつは俺が引き受けとく。お前は雛森乱菊さんを頼む」と提案する修兵。それを聞きつけ「…いいんですか 丸投げしちゃって」と不審そうに吉良くんが言うので、「誰が丸投げしろっつッた! 応急処置したら鬼道で目隠ししてこっちに加勢すんだよ!」と慌てて答える修兵。
「…特に乱菊さんは急がないと危ねえ。頼んだぜ元四番隊」厳しい表情で言い放つ修兵、それに「いつの話をしてるんですか」と自嘲ようなけれども自信を覗かせるような顔で吉良くんも答えます。
「…いくぜ」「そうしましょう」という受け答えを合図に、アヨンの首に巻きつけた鎖を強く引く修兵、アヨンの体勢が崩れます。その隙に雛森ちゃんがつくった吊星に横たわっていた乱菊さんを吉良くんが救出します。「コラァ!何ボーッとしてんだアヨン!!」とアパッチの怒声も飛びますが、吉良くんは素早く自分がつくった吊星のほうへ向い、その吊星の下に「縛道の七十三『倒山晶』」を放ちます。倒山晶で現れたのはピラミッドを逆さにしたような四角錐の巨大な水晶のようなもので、吊星よりも安定した足場になりました。
「少し待っててくれ」と吉良くんが雛森ちゃんを振り返ると、苦しい息の下「あたしは…大丈夫…」とやさしく笑顔をつくって見せる雛森ちゃん。
雛森ちゃんの状態が相当悪いことを察しながらも、顔も蒼ざめ汗をいくつも浮かべている乱菊さんの様子に『こっちはもっとまずい―――…!』と危機感を強める吉良くん。『頼む…腕が鈍っててくれるなよ…!』と鬼道で治療を始める手に力を込めます。
一方、修兵はアヨンを前にし、アヨンの得体の知れぬ様子に間合いを取って攻撃を始めることにします。風死に「破道の十一『綴雷電』」の雷撃を載せ、アヨンに攻撃を仕掛けます。『効果あったか!?』と見るや、すかさず風死の鎖を引き、ビル屋上の床にアヨンを沈める修兵。アヨンの弱点が鬼道だと考えた修兵は飛び上がってアヨンの背後に回り込みますが、アヨンは体は伏したまま首だけを180度ぐるりと回し、修兵に拳を放ちます。修兵がその攻撃を躱し床に着地すると、アヨンは首が180度回ったままの状態で起き上がります。
「…バケモノか……!」と目を瞠る修兵をよそにアヨンは風死の鎖を千切り、巨大な手でガッと修兵を捕らえます。そして、これの部分が顔なのだろうと思われた仮面の下から巨大な口がばっくりと開きます。
その修兵の危機に、背後から射場さんが抜刀して現れます。修兵を捕らえたまま後ろを振り返る様子もないアヨンに『まだ反応しとらん!! いけるか!!』と斬りかかる射場さん。しかし、アヨンの頭部の側面からはぎょろりと大きな目が現れ、虚閃が放たれます。直撃を受けた射場さんを案ずる間もなく修兵もビルの壁面に叩きつけられ、さらにはアヨンに締め上げられます。そして気が済んだかのように修兵を抛るアヨン…。次に向かうのは、乱菊さんに治療を施している吉良くんのもと…。
術を施しながら「あと少しなのに……」と呟く吉良くんにアヨンはズン…ズン…と迫ってきます。
万策尽きたかと思われた中、突如アヨンの左胸に風穴が空きます。
それを不思議そうに見下ろすアヨン、突然の出来事に瞠目する吉良くん…アヨンのものと思われる血のついた杖を手に「総隊長を前に出させるとは…情け無い隊員達じゃの」と現れたのは、山じいでした…!今週はここで了。